春の日の記憶

「ときめく心も、君へのドキドキも、全部準備できました。」

美術館に行くこと

 ※独り言です

 

 

「美術館女子」

 

美術館女子 東京都現代美術館×AKB48チーム8小栗有以:読売新聞

 

 

「ねえ、今度の休み美術館行かない?」

こういう風に誘える友達って、身近にいますか?

 

私は田舎出身で、周りの友人は恐らく人生で美術館には滅多にいかないような子がほとんどだと思います。誘えるかも、と頭に浮かんだ人が2~3人もいないくらい。

田舎に住んでると、美術館なんて滅多に行かないんですよ、当たり前ですけど。近くに美術館なんてないし、あっても小さな市の博物館。たまにちょこっと企画展やったり。県内有数の大きな美術館なんてなぜか山の中で車じゃないといけないし。

だから友達と美術館行った経験なんてほぼないです。高校受験で校内立ち入り禁止になった連休の時に、その「誘える」友達と日程組んで2泊だか旅行した時くらい。

 

でも、都会だとどうなんでしょうか?特に都心となると大小関わらず美術館はたくさんあるし、博物館だってたっくさんあるじゃないですか。きっと美術館に行く習慣がある人もいると思います。「行きやすい」という環境は行動を起こしやすい環境であることですから。

 

 

プチ(?)炎上していた「美術館女子」について、自分は少なからず当事者であるという感覚をもって考えたり、様々なツイートを見たりしてました。春から大学生である身として、文化や美術を専門に学び始めた学生として、「美術館に行く女子」として。

 

 

 

 

◎「女子」という括り

 

まず、「女子」とは

goo国語辞書的にいうと、

じょ‐し〔ヂヨ‐〕【女子】 の解説
1 おんなのこ。むすめ。⇔男子。
2 女性。おんな。「女子学生」「女子ゴルフ」⇔男子。

家にあった国語辞書(三省堂出版)によると

女として生まれた人の称。長幼は問わない

 

 

なるほど。こんな当たり前の単語を辞書で引いたことなかったので、勉強になりました。つまりそこのあなたも、あの子供もおばあさんも「女子」だし、私の父も隣の家のおじさんも「男子」。

 

  

この「美術館女子」という言葉、別に嫌いじゃないです。だって要するに「美術館に行く女子」っていうわけですよね?じゃあ当たり前に「美術館男子」「美術館に行く男子」も存在できるわけで、だからこそその言葉が使われず、「女子」にだけスポットライトが当たる必要性を感じません。

 

この読売新聞の企画も趣旨も、分からなくはないし、いやむしろすごいやりたいことは分かる。「今まで美術、芸術に触れる機会はあまりなかったけど、ちょっと興味のある」人向けの企画。たぶんそういう風な見込みで作ったものなんだろう、そう信じたい。

でもそれに対する足し算が最悪です。だから炎上したんだと思う。

 

この企画において、私が「いらねえだろこれ」と感じた足し算の設定は、

 ・女子=若い女性=みんなインスタ映えに夢中

・美術館=映えスポット=自分が被写体の写真を撮る場所

 

 

 

 

◎女子=若い女性=みんなインスタ映えに夢中

 

私はこれを読んだ時点で思考停止したんですけど、若い女性ってみんなインスタ映えに夢中なんですか?少なくとも私はインスタ映えに夢中にはなっていないし、周りの友達も映えを気にしてる様子ありません。

確かにそれが流行った時期もあったのであろうし、インスタに綺麗な風景やおしゃれな写真をあげている人もいますよ!

でも「=」で出来上がる式が安直すぎて嫌になります。世の中人間の数だけ思考も趣味も傾向もあるし、今時インターネットが普及した世の中で、「流行り」なんてものが大衆全般を指すことではないことをお願いだから学んでほしいです。

 

綺麗な景色を見ても、写真を撮ることに全神経注ぎ込むなんてことしないし、目に焼き付ける美しさだって存在しますよ。

私もスマホ大好き人間だけど、若い人がみんなインスタ映えに執着している、みたいな書き方が嫌でした。あとインスタ映えに執着している人がいても、それ「(若い)女子」にくくる必要ある?ないです。

 

 

 

◎美術館=映えスポット=自分が被写体の写真を撮る場所

 

これなんて本末転倒ですよね?

美術館に行く理由なんて人それぞれでいいと思うんです。「静かな空間が好きだから」「絵を描くのに参考にしたいから」「昔から絵画や彫刻が好きだから」……

私が美術館、というか絵を見るのが好きな理由は、「絵画や彫刻の前では答えがないから」です。昔から自分のことを人にとやかく言われるのがすっごく嫌いだったので、作品の前に立って頭を空っぽにして、ただあふれ出てくる感想をかみしめることができるからです。それには答えがないので、自分の中に大切にしまっておけるあの感覚が本当に大好きなんです。

 

美術館に来る理由、芸術が好きな理由が何万個と存在しようと、私が断固としていえると思うのは、「美術館は自分が主役の場ではない」ということだと思います。(個人的には!)

美術館では「作品」が主人公であり、私たち来場者はいわばモブだと思っています。たとえ作品に恋をしたとしても、両想いになる確率はほぼゼロパーセントの恋。両想いになれるのは恐らく制作者だけだと思っています。

 

だから!美術館で自分を被写体にして撮るなんて言語道断なんですよ!

日本ではあまり見かけないですが、たまに見る「記念写真」風の写真とこれとは全く別物だと考えて、「記念写真」風であればあくまでも作品が主人公ですが、自分が「作品」になってしまうと展示されてる作品は「背景」になってしまうわけです…

悲しすぎる、こんなに悲しいことないです…

 

 

 

 

◎女性=「○○」

 

 高校生の間は男性しかいない部活に属していたもので、ちょくちょく言われたこととかもあったんですけど(主に顧問。30代)、たまーにいるんですよね、「女性=〇〇」という方程式持ってる人。顧問は怖いわけでもなく、普通に仲良かったのですが、話の節々に男性優位主義的な要素を含んでいる発言があってすごい不快だったことがあります。(くそどうでもいい元カノの話とか)

それこそ「美術館行って何がたのしいの?おしゃれだから?」とか言われたことありますし、「韓国~?うわ~またそうやって女子は」とか言われたことありますし…(懐かしい)

私たちは自分で趣味を選択して生きているのに、どうして小馬鹿にされないといけないのか。 

 

 

 

この記事読んだときなんかめっちゃくちゃ笑いました。馬鹿にしすぎでしょ!って。同じこと考えている人がいるだろうと思ってコメント欄のぞいたら、「行くなら勝手に行け」みたいなことおっしゃってる人いて本当に申し訳ないのですが、笑ってしまいました。

「愛の不時着」フィーバーで「北朝鮮に行きたい」女子が急増? 専門家は警鐘(デイリー新潮) - Yahoo!ニュースnews.yahoo.co.jp

そもそも「急増」の基準が分からないのですが、0が3に増えたら急増なんですかね?こう考えた人が全くいないわけではないと思いますけど…

 

「愛の不時着」私も見てめっちゃくちゃ面白かったですけど、ハマった人って女性だけじゃないですよね?自粛期間中にめっちゃハマった!って言ってた某巨人軍の選手も某楽天のコーチもいましたし、ネットフリックスなど気軽に韓ドラが見れる今、「韓流」というコンテンツが女性に限定される風潮も終わりを迎えてほしいなと思います。

 

 

こんな形で美術館が話題になったのも悲しいです。

私は今後も「作品」を見に美術館に行きたいし、そうやって美術館に興味を持ってその良さに気づいてもらうための企画がしっかりと出てきてほしいです。こういった企画ではなく、もっと純粋に美術館の魅力を知らせる素敵な企画があると!思いますので!

 

さあ、課題終わらせよう………